12月18日の記録

一瞬の、けれどどうしようもなく激しい衝動に突き動かされたわたしのこれまでの恥ずかしい行動の数々を思い出していた。一つ瞼の裏に景色が浮かぶと、堰を切ったみたいに思い出したくない記憶ばかりよみがえってくる。人間が否定形の命令を認識できないというのは本当だった。思い出すなとこころに命令すればするほど全ての恥ずかしい思い出が頭を満たしたりするなどした。

ずっと聴いていた、柔らかくて軽やかなアイドルの声を初めて雑音に感じている。テレビから流れる、意味がわからない異国の言葉の方が心地いい。いつか好きな人ができて、言葉のささいなニュアンスや優しさ、あたたかさをうまく汲み取れない自分をもどかしく感じたりするのだろうか。もっと誰かを知りたいと思う気持ちは、しばらく感じていなくてもう思い出せない。時々、自分が昔と何も変わっていないことに気づかされて、世界から音や光が消えたみたいに頭が真っ白になる。もう平気だと、もう成長したと、いつも強がって大丈夫なフリばかりしているだけなのではないかと。こうありたい自分に近づくため、薄汚く卑しい部分には覆いをかけて、きれいな部分だけ他人に見せているだけなのではないかと。変化したのはわたし自身ではなく、わたしの周りの人やわたしを取り巻く環境なのではないかと。わたしはずっと渇いていて、本当はどろどろの水の中に頭まで浸かってしまいたいと思っているのではないかと。

 

朝が来たらなかったことになってしまいそうなちくりとした痛み。なかなか消えない火傷の痕みたいに、時々思い出せるように残してみる。